2022.4/9-2分
UFO。
小学3年生くらいだったかな。
学校から帰ってきて、母が買い物か何かで留守で家に入れず、近くの空き地にいたんだと思う。
そこは白詰草やカラスノエンドウやいろんな雑草と呼ばれる植物が生い茂り、地形的には高台の崖みたいな場所だったから、不思議な景色で好きだった。
その空き地からは遠目に隣の地区のマンション群と古くからの家々が高低差によって模型みたいに見えるのがよかった。
特に夕方以降の夜景は派手さもないのに、ぽっかり浮かぶマンションのたくさん並ぶ四角い窓の光が心を奪うものだった。
何度もこの高台に家があって住んでいる夢も見た。
それはさておき、その日は午後3時台とかかな。
空の一点に小さな明らかに動き方のおかしい、止まって見えるようなグレーっぽいような少しメタリックでもあるような米粒大の物体が浮いていた。
心がざわつきながらも、いやそんな訳ないと言い聞かせては何度も何度も見ては、やっぱりおかしい。
間違いなく動いてるのに飛行機やヘリコプターにしてはあんな速度は…。
そんな不安な気持ちがどんどんエスカレートしていって、だめだ誰かに言わないと‼︎と焦りだし家に戻ると(1分くらい)斜向かいの家のIさんがお出かけから帰ってきた所で玄関を開けようとしていた。
焦って…Iさん!へんなものが……!と引っ張っていった。
普段から私は挨拶は完璧だが無口な人間だと言うのに。
空き地で数分〜十数分一緒に立ち続けてくれたのだった。
その物体はまだ浮きながらほんの少しずつ近づくように動いている。
ほんとだね、何だろねと無口な子がものすごく不安げにしているのに付き合ってくれたのだった。
その少し後それが何かわかるのだが。
そう、飛行船だ。
名前も存在も百科事典などで知っていたはずだったが実物も、飛んでいるのも見た事がなかった。
多分ゆっくり近づいてきていて、広告の文字がやっと見えてきたんだったと思う。
その後は恥ずかしさで塗れてしまい、もう何も覚えていない。
恐らく泣きそうな顔で謝ったのだろう。
ありがとうIさん、優しくしてくれて。
これからも飛行船を見るときっと思い出す。